
不動産屋が意外と気にしている。「越境」がある家って買って大丈夫?
不動産の「越境」って何が怖い?
ハウスマンヤマダです!
家や土地を購入するとき、多くの方が気にするのは、
「駅から近いか」
「日当たりはいいか」
「間取りは使いやすいか」
「価格はいくらか」
といった部分だと思います。
もちろん、それらは非常に重要です。
しかし、不動産屋が物件を調査するとき、建物や間取りと同じくらい気にしているものがあります。

それが、
「境界」と「越境」です。
越境という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
簡単に言えば、
自分の土地に、隣の土地のものがはみ出している。
または、
自分の土地にあるものが、隣の土地にはみ出している。
という状態です。
「数センチくらいなら別に問題なくない?」
そう思う方もいるかもしれません。
しかし、この越境。
不動産売買では、意外と厄介な問題になることがあります。
今回は、不動産の「越境」について、少し踏み込んで解説します。
□そもそも「越境」って何?
越境とは、土地の境界線を越えて、建物や工作物などが隣地にはみ出している状態のことです。
例えば、
・隣の家の屋根が自分の土地にはみ出している
・雨樋が隣地に入っている
・ブロック塀の一部が境界線を越えている
・樹木の枝が隣地に伸びている
・配管が他人の土地を通っている
こういったものが代表的な越境です。

不動産の調査をしていると、
「え、そこまで確認するの?」
と思うような小さな越境が見つかることもあります。
ただし、大切なのは、
越境しているから、その不動産は絶対に買ってはいけない。
というわけではないことです。
問題なのは、
「越境があること」そのものより、その越境が将来どうなるのか。
ここです。
□一番怖いのは「将来、問題になること」
例えば、現在は隣人同士の関係が良好だったとします。
「屋根が少しくらいはみ出していても、お互い気にしていませんよ」
という状態かもしれません。
しかし、不動産は何十年も住むものです。
現在の所有者同士が問題なくても、
・隣の家が売却された
・相続によって所有者が変わった
・建物を建て替えることになった
・隣地との関係が悪化した
こうしたタイミングで、突然問題になる可能性があります。
今まで、
「別にいいですよ」
と言っていた人がいなくなり、新しい所有者から、
「越境している部分を撤去してください」
と言われる可能性もあります。
これが越境の怖いところです。
今は問題がなくても、将来も問題がないとは限らない。
ということです。
□特に注意したい「屋根」と「雨樋」の越境
中古住宅では比較的よく見かけるのが、
屋根や雨樋の越境です。
建物そのものは境界線の内側に建っているものの、
屋根の先端や雨樋だけが数センチ隣地にはみ出している。
こういったケースです。
「数センチなら大丈夫でしょ?」
と思うかもしれません。
しかし、建物を建て替えるときには話が変わります。
例えば、新しく家を建てる際、隣地との境界を意識して設計を行います。
その際、
「今まで越境していたから、次も越境していい」
とは限りません。
現在の建物については容認されていても、
将来建て替える際には、
「建て替えるなら越境しないようにしてください」
という条件になることもあります。
つまり、
現在の建物はそのままでも、次の建物では同じ状態を維持できない可能性がある。
ということです。
□ブロック塀の越境も意外と厄介
もう一つ注意したいのが、ブロック塀です。
古い住宅地では、
「このブロック塀、どちらの所有物?」
というケースがあります。
境界線の上に設置されている場合もあれば、完全に片方の土地に入っている場合もあります。
もし、隣地の所有物であるブロック塀が自分の土地にはみ出していた場合。
建物を建て替えるタイミングや、ブロック塀を撤去するタイミングで、
費用負担について話し合いが必要になることがあります。
また、
「誰が所有しているのか分からない」
という状態が一番厄介です。
昔からそこにあるブロック塀。
しかし、現在の所有者も、
「親の代からあるので分かりません」
というケースも珍しくありません。
不動産は、こういう昔から引き継がれてきた問題が、売買のタイミングで表面化することがあります。
□見落とされやすい「地下越境」
越境というと、屋根やブロック塀のように目に見えるものをイメージすると思います。
しかし、もっと厄介なのが、
地下にある越境です。
例えば、
・排水管
・給水管
・ガス管
などが、隣地を通っているケースです。
古い住宅地では、現在のようにきれいにインフラが整備されていなかった時代の配管が残っていることがあります。
自分の土地の水道管が、実は隣地を経由して道路につながっている。
なんてこともあります。
普段生活している分には問題がなくても、将来その配管が壊れたらどうなるでしょうか。
修理するためには、
他人の土地に入る必要がある。
場合によっては、
掘削工事を行う必要もあります。
このとき、隣地所有者との関係が悪ければ、工事の承諾をめぐって問題になる可能性があります。
目に見える越境よりも、
見えない地下の越境の方が怖い。
なんてこともあるんです。
□越境があったら「越境覚書」を確認する
越境に関する覚書
が作成されていることがあります。
例えば、
「現在は屋根の一部が越境していることを双方で確認している」
「現在の建物を使用している間は容認する」
「将来建て替える際には越境を解消する」
といった内容です。
こうした取り決めを、土地の所有者同士で書面に残しておくものです。
重要なのは、
口約束だけで終わらせないこと。
「隣の人が大丈夫って言っていました」
では、将来所有者が変わったときに話が複雑になる可能性があります。
そのため、越境がある物件を購入する場合は、
どんな越境があるのか。
誰のものが越境しているのか。
将来どのように解消することになっているのか。
ここまで確認することが重要です。
□「越境あり」の物件は住宅ローンに影響する?
結論から言えば、
越境があるから住宅ローンが絶対に利用できない、というわけではありません。
実際に越境がある中古住宅でも、住宅ローンを利用して売買されているケースはあります。
ただし、越境の内容や金融機関の判断によっては、確認を求められることがあります。
特に、
・大きな建物越境がある
・権利関係が複雑
・将来的なトラブルが予想される
・土地を利用する上で大きな支障がある
といった場合には注意が必要です。
「越境があるけど、ローンが通るから大丈夫」
ではなく、
その越境が将来の売却や建て替えに影響しないか。
という視点で考える必要があります。
□境界標がない=越境している?

ここも勘違いされやすいポイントです。
境界標が見当たらないからといって、必ずしも越境しているわけではありません。
しかし、
本当の境界線がどこにあるのか分からない。
という状態であれば、越境しているかどうかも正確には判断できません。
不動産売買では、
・境界標の有無
・確定測量図の有無
・隣地所有者との境界確認
などを確認します。
特に中古住宅や古い土地では、
現地にあるブロック塀を見て、
「たぶんここが境界だろう」
と判断するのは危険です。
ブロック塀と本当の境界線が一致しているとは限りません。
見た目の境界と、法的な境界は別物。
ここは非常に重要です。
□越境物件を買ってはいけないのか?

では、越境がある物件は購入しない方がいいのでしょうか?
僕は、
「越境がある」という理由だけで即NGではない
と思っています。
重要なのは、その内容です。
例えば、
数センチの雨樋の越境があり、
隣地所有者との覚書もある。
将来建て替える際には越境を解消することも決まっている。
このような状態であれば、内容を理解した上で購入を検討することは十分可能です。
一方で、
「何が越境しているのか分からない」
「誰のものか分からない」
「境界線自体がはっきりしない」
「隣地所有者と話し合いができていない」
こうした状態は、慎重に確認した方がいいでしょう。
不動産で一番怖いのは、
問題があることではありません。
問題の内容を知らないまま購入することです。
□まとめ|家を見るなら、境界も見よう
家を探していると、どうしても建物の中に目が行きます。
LDKは何帖あるか。
収納は十分か。
日当たりはいいか。
もちろん、それも大切です。
しかし、不動産は建物だけではありません。
土地があります。
そして土地には、
境界があります。
「隣の家がちょっと近いな」
「屋根、少し出てない?」
「このブロック塀、どっちのものだろう?」
内見中にそんな違和感を覚えたら、不動産会社に確認してみてください。
その小さな違和感が、
将来の大きなトラブルにつながる可能性もあります。
逆に言えば、購入前にきちんと確認しておけば、避けられる問題も多い。
家を買うときは、
建物を見る。
そして、
土地を見る。
さらに、
境界を見る。
これが、不動産購入では意外と大切です。
ハウスマンでは、物件の見た目や価格だけではなく、
「この不動産を買ったあとに困ることはないか?」
という視点でも物件を確認しています。
気になる物件がある方は、ぜひお気軽にご相談ください!
