
不動産屋なのに「この物件、やめたほうがいいです」と言うことがあります。
家探しをしていると、不動産屋から「こちらの物件がおすすめです」と言われることがあります。
当然です。
不動産屋は物件を紹介する仕事です。
でも、ハウスマンでは、物件を見て「これは一度立ち止まったほうがいいかもしれません」とお伝えすることがあります。
別に、その物件が「悪い物件」だからではありません。
そのお客様の希望条件や、実際の暮らし方を考えたときに、おすすめしないほうがいいと思う物件があるからです。

条件だけを見ると、紹介してもおかしくない物件でした
先日の話です。
お客様から内覧のご希望をいただいた物件がありました。
価格や間取りなど、お客様が希望されていた条件にもある程度合っている物件です。
そのため、普通に考えれば、
「では、内覧の日程を調整しましょう」
となるところ。
ただ、私は内覧の前に、できるだけ現地を確認するようにしています。
物件情報だけでは分からないことがあるからです。
そして、実際に現地へ行ってみると、物件の隣に長期間空き家になっていると思われる建物がありました。
さらに、その敷地から草木が伸び、物件側へ越境している状態も確認できました。
もちろん、空き家だから必ず危険というわけではありません。
ただ、長期間使われていないように見える建物で、周囲の管理状態も気になる。
その状況を見て、
「この物件は、無理に内覧をおすすめしないほうがいいのではないか」
と判断しました。
理由の一つが、火災などのリスクです。
もちろん、実際に火災が起きると断定できるわけではありません。
しかし、住宅を購入するということは、これから長く暮らしていく場所を選ぶということ。
目の前の家だけではなく、隣地の状態も含めて考える必要があります。
「物件」だけを見ていると、こういうことを見落とします
ネットで物件を探していると、どうしても目に入るのは、
価格
間取り
駅距離
土地の広さ
駐車台数
LDKの広さ
日当たり
などです。
もちろん、どれも大切です。
でも、実際に暮らし始めてから気になるのは、それだけではありません。
隣の建物はどうなっているのか。
前面道路はどんな道路なのか。
周辺に管理されていない土地はないか。
近隣にどんな施設があるのか。
時間帯によって周辺環境は変わらないか。
こうしたことは、物件サイトの写真だけでは分かりません。
だからこそ、「気になる物件を内覧する」だけではなく、「内覧する前に周辺を見る」ことにも意味があります。

「おすすめしない」は、物件を否定しているわけではありません
ここは、かなり大切なところです。
今回の物件も、
「絶対に買ってはいけない物件」
という意味ではありません。
隣地の状況をどう考えるかは、お客様によって違います。
人によっては、
「そこまで気にならない」
かもしれません。
一方で、
「隣の空き家はかなり気になる」
という方もいるでしょう。
不動産には、誰にとっても100点の正解があるわけではありません。
だから私たちが考えるのは、
「この物件は売れるか」ではなく、「このお客様に紹介して大丈夫か」
ということです。
不動産屋の仕事は、物件を送ることだけではない
物件情報を送るだけなら、今は誰でもできます。
ポータルサイトを見れば、たくさんの物件が出てきます。
だからこそ、仲介会社に相談する意味は、
「条件に合う物件を探してくれること」だけではない
と思っています。
その物件を実際に見たときにどうなのか。
周辺環境に気になる点はないか。
お客様の希望条件と本当に合っているのか。
購入したあとに「こんなはずじゃなかった」とならないか。
そういったところまで考えて、物件をご提案する。
それも仲介会社の仕事だと思っています。

「おすすめしない物件」を伝えられる不動産屋でいる事
不動産営業をしている以上、物件を購入していただくことはもちろん大切。
でも、目の前のお客様にとって、その物件を買わないほうがいいのであれば、そうお伝えする。
そのほうが、結果的にはお客様のためになると思っています。
「せっかく問い合わせをもらったから、とりあえず内覧してもらおう」
ではなく、
「この物件、本当にこのお客様に見てもらう価値があるだろうか」
と一度考える。
大切にしているのは、そういう部分。
家探しでは、良い物件を見つけることも大切です。
でも同じくらい、
「やめたほうがいい物件を見極めること」
も大切です。
そして、その判断を一緒にしてくれる人を探すことも、家探しの一部なのかもしれません。